妊娠しやすい身体づくり

卵巣機能低下
女性の社会進出、キャリア化で妊娠を希望する年齢が高齢化しています。
しかし卵巣機能は35歳前後から、徐々に低下し始めるため、いざ妊娠を希望した時に、卵巣機能の低下や卵の老化によって妊娠しずらくなっているという方が増えています。
また若い方でも卵巣膿腫の手術等で卵巣機能が低下してしまった方や、体質的に卵巣機能が低い方もいらっしゃいます。
基礎体温の特徴は排卵が10~12日目と早いため月経周期は25日など短い。
低温期の体温が高め。
オリモノが少ないく、AMH (抗ミュラー管ホルモン)が低値。
卵巣機能や生殖機能の低下した状態は中医学では腎虚と言います。
それらの改善に使う漢方薬は鹿茸、亀板、などが配合された補腎剤を服用頂くことで、生殖機能を改善し、妊娠しやすい身体へと導きます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
最近増えているのが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。
PCOSは排卵障害の1つで、卵胞は育つのに、未熟なものが多く、排卵が遅れたり排卵しても妊娠しずらい為、不妊症の原因の1つになっています。
基礎体温表の特徴は、低温期が長く(排卵が遅れる)ギザギザで、全体的に体温が低く、月経周期が30~45日、または1ヶ月以上あくケースもあります。
オリモノが多く、冷えを強く感じるなどの自覚症状があります。
漢方薬は、痰湿を取り除き血液の流れを良くする、活血化瘀剤、化痰剤を服用頂きます。徐々に身体があたたまり、基礎体温のギザギザもきれいな2層となり、妊娠しやすい体質へと導いていきます。
また体外受精などの場合採卵時にシベリア霊芝や化痰剤を服用いただくことで浮腫を取り除き卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を予防します。

着床障害・不育症
子宮内膜症や腺筋症、子宮筋腫、卵管水腫、卵管ゆ着など、子宮環境の問題で着床障害となり、妊娠に至らない方、着床し妊娠しても流産をくりかえす方も多くいらっしゃいます。体外受精や顕微授精の際、良好胚を何度も移植しても妊娠に至らないケースがあります。その場合は卵子や精子に問題があるのではなく、子宮内膜や着床に問題があると考えられます。この様な方に対しての漢方薬は瘀血(血液の流れが悪い状態)を改善する活血化瘀剤や血液を補う補血剤、骨盤内の炎症を改善するための清熱解毒剤やシベリア霊芝を、服用頂くことで子宮内環境をふかふかの温かくやわらかいお布団のような状態にし、妊娠しやすい体質へと導きます。

子宮内膜症・卵巣チョコレート嚢胞
最近増加している「子宮内膜症と卵巣チョコレート嚢胞」になると、骨盤内に炎症を起こした状態となり、着床障害や不育症の原因になることがあります。また、卵巣チョコレート嚢胞から卵巣機能の低下をおこすこともあります。

漢方薬は内膜症やチョコレート嚢胞の原因のひとつ、瘀血(血液の流れが悪い状態)を改善する活血化瘀剤を基本とし、炎症を抑える清熱解毒のはたらきのある漢方と、免疫バランスを整えるシベリア霊芝などを服用頂くことで、内膜症、チョコレート嚢胞の悪化を予防し、子宮環境を整えて妊娠しやすい体質へと導きます。

子宮筋腫
子宮は鶏卵大の袋状の臓器であるが、その壁の筋層に腫瘍がある場合は着床が障害されることがあります。筋腫が発生している場所や大きさによっては手術の必要もありますが、治療を要しない筋腫も多いのです。しかし、子宮筋腫ができる原因として、瘀血(血のめぐりが悪い状態)が考えられます。瘀血になると排卵を妨げたり、内膜の形成に悪影響を及ぼす可能性もあります。

漢方での対応は、瘀血を改善する、「活血化瘀剤」と服用することで、妊娠しやすい体作りをするとともに、筋腫の悪化のスピードを止めることも可能ですし、できてしまった筋腫が小さくなったり、大きさによってはなくなることもあります。

黄体機能不全
基礎体温表では、高温期が短い(10日以下)、高温期と低温期の平均体温差が0.3度未満、高温期に入って体温が下がる場合は、黄体機能不全が考えられます。黄体ホルモンが十分に分泌されていないので着床障害が起こります。中医学では、体温が低いという症状は気の不足がかかわっていると考えます。体を温める原動力である腎陽の働きが低下して、腎陽虚という状態になります。
この腎陽虚による不妊は、日本の女性に多くみられます。腎陽虚という体質を治しておかないと、妊娠しても流産しやすい、産後の体調が悪くなるなどの併害が出てきます。

漢方での対応は、腎陽の働きを助ける補陽剤を用いて改善します。

高プロラクチン血症
脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンには、乳汁の分泌を促す働きがあります。このホルモンには排卵や月経を抑える作用があります。このホルモンが大量に分泌された状態を『高プロラクチン血症』といい、不妊の原因の1つになっています。

漢方での対応は、炒り麦芽や芍薬甘草湯を服用することで、かなりの確率でホルモンの状態が改善されます。